【追悼】デッド・オア・アライヴのピート・バーンズ氏、57歳で逝去〜ひとこと言わずにはいられない
10月23日、デッド・オア・アライヴのリーダーでありボーカルだったピート・バーンス氏が心不全のため亡くなった由。わずか57歳でした。
私自身10代の頃から彼の音楽に触れ、様々な記憶の背景には今でも彼の歌声が流れています。熱狂的なファンだったというわけではありませんが、ただ々々ショックでなりません。
彼を偲びながら、少しばかり記事にさせて頂きたいと思います。
デッド・オア・アライヴとの出会い
私が彼らを知ったのは、1984年に発表された大ヒット曲
『You Spin Me Round』
がキッカケでした。
Dead Or Alive - You Spin Me Round (Like a Record)
おそらく『ベストヒットUSA』という番組で知ったのだと思います。よく見てましたから。
しかしこの時はまだ、それほど聴き込んでいません。
その後、私が改めてハマることになったのは、次のアルバムがキッカケでした。
友人が貸してくれたレコード(CDではない)
『Mad, Bad, and Dangerous to Know』
を聴いて、ショックを受けたのです。
当時はこればかり1日中聴いてました。
日本でも大ヒットしたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。
特に収録曲である『Brand New Lover』『Something in My House』は有名なので、耳馴染みがあるはず。
Dead Or Alive - Brand New Lover
Dead or Alive - Something in My House [HQ]
良い曲がいっぱい詰まった、お気に入りのアルバムなのです。
デッド・オア・アライヴの音楽性について
彼らの音楽を紹介記事で目にするとき、『ディスコ・サウンド』とか『ユーロ・ビート』という言葉で語られることがあります。
これは日本で知れ渡ったのが、いわゆる『ディスコ・ブーム』の頃だからです。
しかしヒット曲を生み出したのは、このブームよりも数年前のこと。すでに彼らの音楽は確立されており『たまたまディスコブームに曲がマッチした』というほうが正しいでしょう。
別にどちらがどうとかいう気はありませんが、少なくともデッド・オア・アライヴを大枠で語られてしまうには物足りなさを感じます。
曲だけ聴いていると『打ち込み系』のような印象を受けますが、それは使用している音源のせいです。実際にはそれぞれ自前で演奏しており、シンセドラムがビートを刻んでいるのでそう聴こえてしまうのでしょう。
しかも、キーボードやギターもバッキング・ノートが多く、ベースはスラップ(チョッパー)を多用していながら決して前面には出てきません。
曲全体のメロディ・セクションは、その多くをボーカル1人が担っているというのがデッド・オア・アライヴの特徴です。
存在感がありすぎる声と、抜群の歌唱力を持ったピートがボーカルだからこその構成と言えます。
ピート・バーンズの危うい魅力
ピートが存在感を発揮するのは歌声だけではありません。ユニセックスとも言える衣装で舞台を動き回り、妖艶な踊りを披露しながら危うく魅了します。
ミュージシャンというよりはエンターテイナーというほうがふさわしいかもしれません。聴かせるだけではなく『見せる(魅せる)』ことにも、こだわりを持っていたのでしょう。
そうした『こだわり』からでしょうか。彼は『美』に対する執着が人一倍強かったようで、整形を繰り返すようになります。
手術のために私財をつぎ込み、あげく豪邸を売り払ったばかりか、楽曲の著作権まで手放してしまったことはあまりにも有名。多くの手術を繰り返したため、もはや全く別人の顔となってしまいます。
さてそんなピートですが、彼は生涯で2度の結婚をしています。しかも1度目は女性、2度目は男性と。
これは訃報を聞くまで私も知らなかったのですが、こうした不可解な面も彼の音楽に『危うい魅力』を漂わせていた要因なのかもしれませんね。
お気に入りの曲
私がデッド・オア・アライヴの曲を聴いていたのは1990年頃まで。全て聴いたわけではありませんが、私なりに好きな曲をいくつかご紹介してみます。
全盛期だった頃のアルバムから1曲ずつピックアップしてみました。
どの曲も有名なので、あえてここで聴く必要もないでしょうが参考までに。
■ It’s Been A Long Time(アルバム『Youthquake』より)
Dead Or Alive - It's Been A Long Time
デッド・オア・アライヴの中では少し毛並みの違う曲です。ロック色が濃くて、めずらしく各楽器の音を聴かせる構成ですね。
個人的には『フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド』の世界観に似てると思うのですが(古い?)。
このアルバムを境に彼らの音楽が確立されたことは言うまでもないのですが、それまでのロックっぽさが残る曲が多い気がします。
■ Son of A Gun(アルバム『Mad,Bad,and Dangerous To Know』より)
Dead Or Alive - Son of A Gun (Live In Japan)
動画はあえてライブバージョンを引用させて頂きました。
私がデッド・オア・アライヴにハマったアルバムの中でも、特に大好きな曲です。サビのドラム・フレーズが抜群に格好イイ!!
原曲と聴き比べると分かりますが、彼らのすごいところは舞台におけるメディア音源(レコード・CDなど)の再現性が高いこと。『口パク』かと思えるほど見事です。
■ Turn Around and Count 2 Ten(アルバム『Nude』より)
Dead Or Alive - Turn Around and Count 2 Ten
とってもディスコソング・テイストな曲です。ヒットを連発していた頃の、いかにもデッド・オア・アライヴらしい曲と言えるでしょう。
Bメロ〜サビ部分への変調の仕方が好きです。オーケストラヒットのような、乾いたブラス音もカッコイイ!!こういう音がサラリと使えるのは、ピートの声に厚みがあるからでしょうね。
最後に
ピート・バーンズ氏について調べてみると、先述の整形や同性婚をはじめ様々な逸話が出てきます。特にヒットしてから今日までの30年余りは、波乱に満ちた人生だったようです。
しかし浮かんでくる彼の人物像は、どんな場面でも輝いてました。57歳という短い時間を、全力で走ってきたからでしょうか。
とにもかくにも私が彼について語るには、あまりにも狭い視野でしかありません。今はただ、彼が残してくれた素晴らしい音楽に出会えたことを感謝しています。
最後に、彼自身の曲をピート・バーンズ氏に捧げつつ手を休めることにします。
■ Special Star(アルバム『Mad,Bad,and Dangerous To Know』より)
まさに彼こそ、私の『スペシャル・スター』でした。
合掌