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小さな話をタレ流す雑記ブログ

労働者の価値を下げる『全人格労働』とは

 

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お馴染みになった『ブラック企業』という言葉。一過性のものかと思いましたが、すっかり定着し公用語になりつつありますね。
 
それとは似て異なる『全人格労働』という言葉があります。こちらは認知度が低いようですが、前者と同様に過酷な労働環境を強いられている状態を揶揄(やゆ)した言葉です。
 
 

 

 

全人格労働とは

 
ブラック企業は文字通り企業(会社)に対して使われる言葉。過重労働や違法労働が常態化した会社の事を指します。
 
対して全人格労働とは、人(労働者)の働き方を表す言葉です。
 
全人格労働
 
労働者の全人生や全人格を業務に投入する働き方のこと。産業医の阿部眞雄が2008年に著した『快適職場のつくり方 − イジメ、ストレス、メンタル不全をただす』の中で提示された。バブル崩壊以降の日本では、賃金やポストの上昇といった見返りが少ない職場が増えているうえに、解雇される恐れやノルマなどにより自然と過重労働に追い込まれることが多くなっている。結果、将来に希望をもてずプレッシャーや強いストレスにさらされ、うつ病などのメンタルヘルス不調が年々増えているとされている。 

※出典:コトバンクより

 
 
『全人生を仕事に捧げるような働き方』とは恐ろしい描写ですが、なるほど腑(ふ)に落ちる表現です。
 
勘違いしないでほしいのですが、自らの意思で仕事に情熱を注いでいるということではありません。
 
例えば好きなことを仕事にしていて、その仕事に全てを捧げているのとは違います。
 
自らの意思ではなく、会社からそうした状況に追い込まれていることを指す言葉です。
 
 
 

なぜ労働環境が悪化しているのか

 
産業医の阿部さんが言っているように、こうした悪しき労働環境が増えているのは『バブル崩壊以降』のようです。
 
確かに『ブラック企業』然り、こうした言葉で揶揄されるようになったのは最近10年位のこと。
 
バブル崩壊によって経営が厳しい環境下におかれた企業が増えたことが引き金となったことは間違いありませんね。
 
経営状況が悪化すると、会社は ” 雇用を継続するため ” という大義名分のもとに経営効率を求めていきます。利益を上げるために成果を求めつつも、経費を削減していくわけです。
 
 

 

 経費と同時に社員の人生を削減していく

 
備品消耗品や交際費など、無駄を省くことは経営努力として必要ですが、経費削減には限界があります。そうなると、次に手っ取り早く削減出来る経費は人件費です。
 
具体的には
 
・今まで以上の仕事や成果を要求しつつ、経費削減のため残業を制限する。
 
定期昇給(ベースアップ)はあってもボーナスをカットする。
 
成果主義という都合のいい名のもとに、曖昧な評価しかされず給与が上がらない。
 
など々々。
 
じつは法に触れず人件費を削減するのは案外簡単です。
 
労働組合があったとしても、この不況下で会社の存続を第一に考えるならば会社の意向に従わざるを得ないところが多いのではないでしょうか。
 
結果的に社員は消耗品のように労働力を搾取され、見返りは与えられずに疲弊していくといった具合です。
 
近年では ” 社畜 ” という言葉も良く囁かれますが、皮肉にもこれほどふさわしい呼び名は他にありません。
 
 
 

人は経営資源から消耗品へ

 
しばしば経営学を語る時に『経営資源』という言葉が使われます。
 
これは人・物・金・情報などの有形・無形の財産を意味しています。
 
こうした経営学の観点から物申せば、全人格労働という働き方の現場において、人は『資源』ではなく『消耗品』という位置付けであると考えたほうがしっくりきます。
 
私なんぞが経営学を論ずるなどとはおこがましい事ですが、時代の移ろいとともに経営の考え方を変える必要があるのかもしれません。
 
終身雇用や年功序列が崩壊していくなか、サラリーマンの『人』としての役割は今後どう変わっていくのやら。
 
願わくばこれを読んでいる皆さんが、全人格労働で人生を消耗しませんように。
 
 
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