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小さな話をタレ流す雑記ブログ

店を潰してしまった体験談 〜 経営の難しさと面白さ

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私は20代の頃、小売店の店長をしていた事があります。
 
といっても個人経営ではなく法人としてフランチャイズチェーン(FC)に加盟しており、社長(店のオーナー)を含め正社員が5人もいました。
 
ゆくゆくは店舗数を拡大していく予定だったようですが、1店舗目から大幅な赤字経営で倒産しました。

 

なぜか入社後3ヶ月で店長に

 
私が入社したのは、店がオープンしてから半年ほど経過した頃です。
 
既に開業費用を含め数千万円の赤字状態でした。当時の店長と社長は仲が悪かったらしく、私が入社してすぐに店長が辞めてしまいました。
 
その後しばらくは店長不在で運営していたのですが、社長はなぜか私に「店長をやってくれ」と言って下さいました。他にも正社員として開業当初から働いていた方がいたのですが、その一言で私が店長を務める事になったのです。
 
ようやく店の運営を覚えたばかりでしたが、今度は経営の事まで学ばなくてはならなくなりました。
 
社長の勧めで簿記の勉強を始め、職場と専門学校を往復しながら日商簿記3級の資格を取得。そして会計事務所の方に教わりながら、会社の帳簿を付けたり、給与計算をしたり、取引先との折衝や商品の仕入れ等々、決算以外の事は全て任せて頂く事になりました。
 
 

経営の面白さを学ぶ事が出来た

 
休みは週に1日しかなく仕事も多忙を極めてましたが、苦ではありませんでした。
 
店を運営する事が楽しくて、何より『お金を動かす』という経営的な立場で仕事をさせて頂いたので充実していました。
 
とはいえ私が店を引き継ぐ前から経営は赤字続きでしたから、社長や会計士の方と相談しながら黒字化を図るべく様々な努力をしました。
 
オーナーは別会社を経営していたので店の事はほとんど任せきりで、顔を出すのは週に1回。気は楽でしたが、経営を立て直すために自分で考えて何とかしなくてはなりませんでした。
 
いま考えれば社会人としてろくな経験もない私に、よく任せてくれたなと感心しています。
 
しかしそのおかげで、会社経営の大変さと面白さを勉強させて頂く事が出来たのです。
 
 

営業努力として実施したこと

 
店舗運営についてはFC本部から色々と支援して頂いたので、可能なことは全て実施しました。
 
仕入れについてアドバイスしてもらったり、本部から人を呼んで店舗レイアウトを見直したりもしました。
 
売上の好調な店舗を紹介してもらい、一緒に店を見に行ったり競合店を調査したりと本部の人達も協力的でした。またイベントを企画してもらい集客を図ったりもしました。
 
それだけでは飽き足らず、優秀店の店長さんに来てもらい直接指導を受けました。
 
おかげでFC本部から「店舗運営は大変良く出来ている」というお墨付きを頂いたものの、会社経営は赤字のままでした。
 

費用の見直しを図る

 
営業努力と同時に、赤字経営から抜け出すためにあらゆる費用を見直しました。
 
まず外注だった清掃業者やマット交換など、自分たちで出来る事は全て社員にやらせて契約を解除。リースしていた事務機器も必要最低限を残し引きあげてもらうことに。
 
消耗品類もFC本部からではなく、安い店からまとめて購入することで支出を抑えました。
 
さらに店舗家賃の交渉をしましたが、これはダメでした。そもそも立地が良い場所ではなかったので、相場よりもかなり安い賃料だったのです。
 
それ以外に大きな費用として広告宣伝費がありました。
 
折り込みチラシを入れていたのですが、折り込み料を安くしてもらえるよう新聞屋へ何度も足を運び、頭を下げてお願いしました。おかげで折り込み料はかなり安くして頂く事が出来ました。
 
しかしそれでも赤字から抜け出すことは出来ず、仕入れを見直しました。
 
商品についてはFC本部から仕入れなくてはいけないという契約だったのですが、自分で問屋を探して安いところから内緒で仕入れ、商品の粗利率改善を図ったのです。
 
 
 

最終手段としてやったこと

 
営業努力が実を結び、少しずつですが売上は上がっていました。社長からも評価して頂き「店が軌道に乗るためには時間がかかるから、多少の赤字は覚悟している」と言って頂けました。
 
しかし黒字化にはほど遠い経営状況でした。そして費用面での見直しも手詰まりと思えた頃、最後の手段として人件費に手を付けました。
 
私が店長として運営している以上、一刻も早く赤字経営から抜け出したいと社長に相談し、リストラを断行したのです。
 
将来的に店舗数を増やす事を考えて正社員が5名いたのですが、社長と私以外の3名をリストラしました。
 
店舗運営も考慮してアルバイトという雇用形態で継続して雇用し、いずれ経営状況が改善すればまた正社員として登用するという条件付きです。
 
苦渋の決断でしたが3名とも経営状態は理解していたので、ひとまずアルバイトへの格下げで納得してくれました。
 
そして私自身の給与も時給制にして、他の3人と同じ時給で働くことにしました。店長の肩書きがあったので正社員のままでしたが、他の3人と同じ時給で給与を計算したのです。
 
月給は手取りで12万円程度だったと記憶しています。もちろんボーナスなどありません。
 
いっそのこと他でアルバイトしたほうが給料は良かったはずですが、信頼して経営を任せてくれた社長に対して、どうしても結果を出したかったので後悔はありませんでした。
 
他の3名も同じ気持ちです。とにかく経営を軌道に乗せたいの一心でした。
 
 

とどめの一撃であえなく玉砕

 
リストラ断行から少しずつ経営状態は回復し、黒字まであと少しというところで事件は起きました。
 
店から5kmほど離れた場所に大型店があったのですが、そこが大幅な改装を実施しリニューアルオープンたのです。
 
途端に近所の競合店が2つ閉店し、私の店も極端に売上が減少しました。
 
固定客が次々と大型店へと流れていくのを肌で感じていました。
 
徹底的に価格を調査したりイベントを実施したりしましたが、売上は回復しません。
 
そしてついに、計算上では私一人の人件費でも利益が出ないほどの売上になっていったのです。
 
 

返しきれないほどの恩を仇で返すことに

 
努力や根性でどうにかなる状況ではないと判断し、私は辞表を提出しました。
 
すると社長は「もう少し残って一緒にやってもらえないか」と引き止めて下さったのです。
 
しかし大きな負債を残し、また一緒にやってきた仲間に対しても申し訳ない気持ちで一杯でしたので、丁重にお断りしました。
 
後で会計事務所の方に聞いたのですが、社長は私やリストラした3人と次の事業を計画していたそうです。
 
事業の損失は別の事業で取り戻せば良い。会社経営とはそういうものだ。」と言っていたと知らされました。
 
しかし私が辞表を提出した事で次の事業は断念し、店と会社を清算したのだそうです。
 
 

経営者の立場や考え方を知るのは大切

 
いま思えば、あれほど恩を受けておきながら何の恩返しも出来ずに会社を去ってしまったことを深く後悔しています。
 
私は20年以上サラリーマンをやっていますが、その会社に勤めた3年間は最も給料が安く、そして最も充実していました。
 
経営者としての立場や考え方を教えて頂いた、当時の社長には今でも感謝しています。経営は哲学やセンスがないと出来ない事を、身をもって体験しました。
 
サラリーマンを長くやっていると仕事に対する愚痴ばかり聞こえてきますが、そういう人達に会社経営の厳しさを分かってほしいと思いつつ、過去の失敗談を明かします。
 
 
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