大人のアニメには現代社会の縮図があった
突然ですがアニメが好きです。
熱狂的に好きなワケではありませんが、ときどき無性に観たくなることがあります。とりわけSFが好きで、大人になった今でも観ていると楽しいです。
ということで、大人目線によるSFアニメの話を少々。
社会現象を巻き起こしたSFアニメ
SFアニメの金字塔といえば、ミーハーなところで『機動戦士ガンダム』や『新世紀エヴァンゲリオン』などが社会現象にもなりましたね。
ガンダムは、私が小学校3年生の時に放映スタートしました。実はリアル・ガンダム世代なのです(ちょっと自慢)。ストーリーは分かりやすいのに描かれている人間関係は少し大人びていて、当時放映していた他のアニメとは一線を画していました。
この微妙にややこしい人間関係を描いているという点ではエヴァンゲリオンも同じなのですが、ストーリーというか設定が難しすぎて私には理解出来ません。宗教哲学のような要素が入り混じっていたので、そういう部分で考えさせられる事が多いですよね。それでハマる人が多かったのではないかと勝手に納得しております。
人間関係を描いたSFアニメ
さてこの『人間関係』を前面に押し出したSFアニメの一つに『銀河英雄伝説』があります。
モビルスーツなどは登場せず、艦隊戦を軸に戦術を繰り広げていくという一風変わったお話。しかも後世の歴史家によって個々の人物像が語られるかのような描写は、まるで『三国志』さながらです。そして負けず劣らず登場人物やストーリーも膨大で、アニメは全100話以上にも及びます。
私がこのアニメを観たのはずいぶん後になってからで、レンタルビデオを利用して観てました。当時(20代)の上司が熱狂的なファンで、
と評していたのをきっかけに、観てみる事になったわけです。
なぜかセリフの端々にドイツ語が混じっており、なるほど子供には理解し難い話が多いと感じました。しかも目を引くようなロボットやメカは登場せず、もっぱら人間模様を中心に描かれています。
私の上司が目を輝かせて言っていた「大人のアニメ」という表現が腑に落ちました。
『現代の会社組織を模倣した人間ドラマ』
のようだなと感じます。
組織の中で優れた指揮官に恵まれて生きながらえる人、無能な指揮官のもとでむざむざ戦死してしまう有能な部下たち、貴族の派閥抗争や政治的駆け引き、そしてカリスマ性の高い英雄とそれを取り巻く人間像など々々。
まるでサラリーマン社会の縮図さながらに話が描かれています。

サラリーマンに観てほしいアニメ
そうした側面からこのアニメを観たとき、私がとても引っかかった一言があります。オーベルシュタインがラインハルトに助けを求めてやって来た時のセリフで、
「アー(A)にはアーに向いた話、ベー(B)にはベーに相応しい任務というものがあると思いますが」
という一言。ドイツ後の言い回しも混ざってややこしいですが、前後の話しから察するに
「多種多様な人材に、適材適所を以ってこそ覇業を果たすことが可能だ」
というのがストレートな表現だと思いますが、私にはもうひとつ裏の解釈があるように思えてならないのです。
軍組織のなかにおけるラインハルトとキルヒアイスの関係をも皮肉った意味合いを含んでいたのではないかなと。そのもうひとつの解釈が、
「各々が役割をわきまえ、職務を全うしてこその組織だ」
という解釈です。それぞれの立場をわきまえて無用な馴れ合いを慎むべきだ、という皮肉が含まれている気がしてなりません。軍組織の上下関係に翻弄されているオーベルシュタインが、2人の関係を目の当たりにして放った精一杯の皮肉ではなかったのかなと。
こういうシチュエーションは、会社組織内でもありそうだなと考えてしまいます。深読みし過ぎでしょうか。
あとがき
いずれにせよ、見たことがない人には分からない話ですね。ついつい夢中になってしまいました。
こうして大人になって改めてアニメを見てみると、色々な発見があります。昔見たアニメを酒のつまみに夜更かしするのも、仕事で疲れたサラリーマンにとって有意義な時間かもしれません。
願わくば一刻も早く ” タンク・ベッド ” が発明されて
「こいつは1時間で、8時間分の疲れが取れるよ」
と言える日が来て欲しいものです。・・・と、これまた見た事がない人には分からないお話でした。失敬々々。